2024年12月25日
シリーズ :正体シリーズ |
結婚を目指すにあたって「自然な出会い」にこだわる人が時折いらっしゃいます。
しかし、「自然な出会い」とはそもそも何なのでしょうか。婚活=自然な出会いではないと考える人もいれば、婚活の中にも自然な出会いと不自然な出会いがあると考えている人が一定数いるような気がします。
結婚相談所やマッチングアプリ、婚活パーティーでの出会いに抵抗感を持つ人は少なからずいます。5年前10年前と比べたら徐々にありふれた選択肢のひとつとして認知されるようになってきたと思いますが、それでも表立って言うことに抵抗がある人はまだまだ多いのではないでしょうか。年齢が上がれば上がるほど、また都心よりも地方在住の方ほど、その傾向は強いイメージがあります。
私の身のまわりでも、結婚相談所やマッチングアプリで出会って結婚したにもかかわらず、そのことは伏せて「友人の紹介で知り合った」「飲み会でたまたま」といった濁し方をする人も実際にいます。結婚まで至り、現在が幸せであればその過程はもう誰にとやかく言われる筋合いもなく、別に見栄を張る必要もないのでは? と個人的には思いますが、結婚となると親族含め多くの人々にまで広く話題が及ぶのも事実です。自分自身は良くても、出会い方に対して先入観や偏見を持つ人の存在を懸念しているのかもしれません。
それはなぜなのでしょう。
仮説ですが、学校や職場で出会うことに比べて結婚相談所やマッチングアプリで出会うことを「不自然な出会い方」と捉える向きがあるのだと思います。
かつてはお見合い、職場恋愛、地域や地元の顔なじみから出会って結婚することが一般的な時代もありました。主体的に出会おうとせずとも、結婚をわざわざ目的に掲げなくても、ごくごく自然な流れで多くの人が相手を見つけられていたのです。「婚活」という言葉がまだ存在しなかった時代ですね。
ちなみに「婚活」は、2007年頃に生まれた言葉だといわれています。ジャーナリストの白河桃子氏と社会学者の山田昌弘氏が共同で著した著書『「婚活」時代』(2008年)をきっかけに広まりました(諸説あり)
それから女性の社会活躍や経済的自立、アプリやイベントなど出会いの多様化および先進化、人口の都心一極集中など様々な事情を背景に、出会いから結婚に至るまで大多数の人に当てはまるような「正解」らしいルートが無くなりました。
これまで「自然」だと信じられていた出会いが困難となり、ただ受け身で待っているだけでは結婚はおろか、出会うことも容易ではない時代に突入したのです。「結婚はして当たり前」という価値観から変化してきたのもあるでしょう。
(後編に続く)
(後編:『婚活』という言葉の正体 】(後編)「自然な出会い」ってなんですか? に続く)